グリストラップに関する法律とは|設置・運用についての法律を簡潔に紹介

これから飲食店や食品加工の経営を始めようと考えている人は、「グリストラップは設置しなければならないのか」「なぜグリストラップの設置が必要なのか」と、悩んでいるのではないでしょうか。グリストラップの設置の有無によって見積もり金額も変わるため、予算を立てる上でもグリストラップに関する知識を身につけなければなりません。

この記事では、地域によっても異なるグリストラップの設置・運用についての法律を簡潔にご紹介します。

グリストラップの設置に関する法律と条令

グリストラップの設置に関する法律と条令を見てみましょう。「法律」や「条令」と聞くと難しいと感じる人もいると思います。そこで東京都を例にあげ、わかりやすく簡潔にご紹介します。

守るべき法律や条令をおろそかにすれば、予定通りの開業が叶わない事態にもなりかねません。法律や条令に関しては、事前にしっかりと確認しておきましょう。

建築基準法施行令、下水道法、水質汚濁防止法による規定

グリストラップにかかわる法令は「建築基準法施行令」「下水道法」「水質汚濁防止法」を母体とした上で、各都道府県や各市区町村が地域の事情を考慮して条例を制定しています。

建築基準法施行令では、阻集器について次のように定められています。

阻集器
汚水が油脂、ガソリン、土砂その他排水のための配管設備の機能を著しく妨げ、又は排水のための配管設備を損傷するおそれがある物を含む場合においては、有効な位置に阻集器を設けること。

汚水から油脂、ガソリン、土砂等を有効に分離することができる構造とすること。

容易に掃除ができる構造とすること。

公共下水道に排出する場合は「下水道法」河川や海などの公共水域に排出する場合は「水質汚濁防止法」に基づきます。都道府県や各市区町村によっては、より厳しい排水基準値を条例として定めています。

(参考:建築基準法施行令:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/

(参考:下水道法:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=333AC0000000079#246

(参考:水質汚濁防止法:http://www.env.go.jp/council/09water/y0912-01/ref03.pdf

「地域の条例」にどう記載してあるかが最終的な決め手

グリストラップの設置に関しては「地域の条例」でどのように定められているかが最終的な決め手です。そのため、その曖昧さを補うように「地域の条例」で定められているケースが多いのです。

グリストラップの設置に関する「地域の条例」は、各都道府県の水道局のホームページで確認できます。ホームページで確認できなかった場合は、相談窓口を利用して問い合わせをしてみるのも良いでしょう。

(例)東京都の場合

東京都の場合で見てみましょう。東京都下水道条例施行規程の第三条の二において、下記のように定められています。

汚水が油脂、ガソリン、土砂その他排水のための配管設備の機能を著しく妨げ、又は排水のための配管設備を損傷するおそれがある物を含む場合においては、有効な位置に阻集器を設けなければならない。

(参考:東京都下水道局:http://www.gesui.metro.tokyo.jp/about/regulations/kitei/

この規程からわかるように、東京都内において飲食店や食品加工施設を経営するには阻集器、つまりグリストラップを設置しなければなりらないということがわかります。

グリストラップの管理・運用に関する決まり

グリストラップは「設置さえすれば終わり」というわけではありません。営業していく中で、その後の維持管理や運用が必要です。管理や運用を促すために、清掃頻度は「地域の条例」によって、清掃を行うことで出たゴミは「廃棄物処理法」によって適切な対応がされるように定められています。

グリストラップの管理・運用に関する決まりを見てみましょう。

「地域の条例」で清掃頻度まで決まっていることもある

グリストラップの設置に関してだけではなく、掃除の頻度についても条例で定められている場合があります。定められている回数や期間は地域によってさまざまですが、順守しなければ罰金が科せられる可能性もあります。

グリストラップの管理・運用に関する「地域の条例」も、設置に関する「地域の条例」と同じように、各都道府県の水道局のホームページで確認しましょう。

グリストラップの清掃で出たゴミは「産業廃棄物」として処分する

グリストラップの清掃で出たゴミは、「産業廃棄物」として処分しなければなりません。地域によっては、浄化槽を設けて排水の浄化を行う場合もあります。しかし、飲食店からの排水には多くの油脂が含まれているため、浄化槽では取り除けません。浄化槽が持つ本来の機能を損なわないためにも、グリストラップを設置しましょう。

グリストラップを掃除することによって出たゴミは、浄化槽で浄化できないほどの油脂を含むため、「廃棄物処理法」によって厳格に処分することが定められています。

廃棄物処理法違反の罰則

廃棄物処理法に違反すれば、1,000万円以下の罰金もしくは5年以下の懲役、法人は3億円以下の罰金が科せられます。廃棄物処理法の第三条では、事業者の廃棄物について下記のように定められています。

事業者は、事業活動に伴って生じた廃棄物を、自らの責任において適切に処理しなければならない

産業廃棄物の処理は、処理業者に委託することができます。処分業者から産業廃棄物管理票(マニフェスト)の発行を受け、5年間保管しておきましょう。

グリストラップを設置するのに必要な書類

グリストラップを設置するには、一般的に「除害施設設置等届」「位置図」「平面図・縦断図・構造図」「グリストラップ選定計算書」「仕様書」の書類の提出が必要です。必要書類は、市区町村によっても異なります。申請窓口となるのは市区町村の下水道課の場合が多いため、書類に関しての問い合わせも下水道課にすると良いでしょう。

条例がない場合でもグリストラップを設置するべき?

条例で定められていないのであれば、グリストラップを設置していなくても違反にはあたらないため、設置するべきかどうかを迷う人もいるのではないでしょうか。開業予算を計算する場合に「グリストラップの設置費用を省くことで費用を抑えたい」と考える人も少なからずいるでしょう。

では、グリストラップを設置することに関するメリットだけでなく、デメリットを含めて考えてみましょう。

条例がなくてもグリストラップを設置するのがベスト

条例がないとしても、排水管の詰まりを防ぐためだけでなく環境への配慮という点から考えて、グリストラップを設置することは良いことです。

食品衛生法の観点から審査を行う保健所としては、グリストラップを設置していない飲食店に対しても、営業許可を出してくれるケースがあることも事実です。しかし、水質基準に関して、下水道法や市区町村の条例をクリアするには、グリストラップの設置が必要となる可能性が高いのです。

グリストラップを設置するメリットとは

グリストラップを設置するメリットを、排水管の詰まり、臭い、害虫、CSR(Corporate Social Responsibility)という4つの観点から見てみましょう。

厨房や調理場からの排水を排水管に流す前に、グリストラップ内に排水を通すことで生ゴミを集め、油と水を分離させることができます。生ゴミと油脂が排水管に流れないようにすることで、排水管の詰まりや臭い、害虫の侵入を防ぐ効果が期待できます。

CSR(Corporate Social Responsibility)つまり「企業の社会的責任」も常に求められています。そのため、経済活動以外にも環境に対する企業責任を果たすことが必要です。環境に対してや厨房・調理場の衛生管理においての企業責任を果たすためにも、グリストラップの設置は有効でしょう。

グリストラップを設置するデメリットとは

グリストラップを設置する上での主なデメリットは、「清掃の手間」が挙げられます。清掃には労力も時間も必要なため、わずらわしさを感じる人も多いでしょう。しかし、前項であげた排水管の詰まり、臭い、害虫、CSRの観点からすると、メリットのほうが大きいのです。

清掃費用は必要になりますが、「清掃の手間」や「わずらわしさ」というデメリットに関しては、プロの手を借りることで解消できます。

グリストラップの設置・運用にかかる費用

グリストラップを設置するとき、その「設置にかかる費用」と「運用にかかる費用」の2つの費用を考えておきましょう。初期費用ともいえる設置費以外にも、清掃にかかる運用費用が必要です。清潔な状態を保つためには、適切な清掃ができるように費用を組み込んでおく必要があります。

次項では、グリストラップの設置費用と清掃にかかる費用の目安を紹介します。

グリストラップを設置するにはいくらかかる

グリストラップを設置する費用ですが、これはグリストラップのサイズによって異なります。平均して60万~150万円程度の費用がかかると想定しておきましょう。

グリストラップは、店舗の規定の水質基準を越えないように管理できる容量であるかどうかによってサイズが変わります。タイプは浅型、深型、床置き型、素材はFRP製(繊維強化プラスチック)やステンレス製、モルタル製があります。

グリストラップの清掃にかかる費用

自分で清掃した場合の相場は、清掃する際に使用する掃除用具代にかかる費用が主です。少しでも清掃除の負担が減るようにと、グリストラップ専用の掃除用具も販売されています。

プロである業者に依頼した場合の相場は、1回の清掃費用は250リットル以下の場合で1万8,000円~2万5,000円ほどを見積もっておきましょう。業者による清掃費用は、汚泥や廃油の量、清掃方法で変わります。

グリストラップの保守点検は毎日行う必要がある

グリストラップの保守点検を毎日行う必要がある理由は、設置しただけではグリストラップを設置したことで得られる効果を維持できないからです。グリストラップの効果を最大限に発揮させるためにも、保守点検を毎日行いベストな状態を常に保てるようにしましょう。ここでは、グリストラップの保守点検について紹介します。

グリストラップの清掃手順と頻度

グリストラップは、一般的に3つの槽に分かれています。そのため、清掃箇所は大きく分けて3つです。清掃頻度については、その箇所によって異なります。

毎日の清掃が必要な箇所は、第1槽に設置されている「バスケット」です。ここには大きなゴミが溜まります。細かいゴミはバスケットの編み目を通って沈殿します。この沈殿した汚泥は、2〜3日に1回すくいます。

第2槽には、水面に油脂が膜となって浮いています。この油脂の膜を2〜3日に1回除去しましょう。

第3槽のトラップ管は、フタを外して2~3か月に1回、長めのブラシやたわしで磨きます。

グリストラップの清掃は3K業務

グリストラップの清掃は、「きつい」「汚い」「危険」の3K業務です。「きつい」点は、飲食店としての営業以外の労働として清掃をする必要性です。さらに、グリストラップは床に設置されているため、清掃をする体勢も中腰やかがんだ姿勢のため「きつい」といえます。

「汚い」点は、排水を流し込む場所であるため、こまめに清掃を行っていたとしても少なからず臭いがあります。生ゴミが溜まっていたり、油脂が膜をはっていたりと、視覚的にも「汚い」と感じるでしょう。

「危険」な点は、油汚れが多いことで、グリストラップの周辺が滑りやすくなっていることや、腐食した金属部分を触ることで、怪我をするおそれがあるということです。

毎日頑張っても「完璧」にキレイにすることは難しい

どれだけ毎日頑張ってグリストラップをキレイに清掃したとしても「完璧」な状態にすることは難しいでしょう。しかし、プロである専門業者は、専用の洗剤や機器を使用して清掃します。それに加え、実績を重ねて培った技術があるからこそ「完璧」にキレイな状態にできるのです。

自分で清掃をしたのでは「完璧」なキレイは難しいとしても、毎日清掃することは大切なことです。

グリストラップの保守点検についてはプロに相談しましょう

グリストラップは、定期的に清掃・点検しないと劣化やトラブルの元になってしまいます。自分たちではできない作業もあるため、定期的にプロの業者にお願いし、清潔さや安全作業を考慮しましょう。

法律を熟知したプロによる保守点検・産業廃棄物の処理で安心

環境を守るためだけでなく、排水管の詰まりも防ぐ重要な役割を担うグリストラップは、法律を熟知したプロに保守点検や産業廃棄物の処理を依頼することで安心して営業できます。

プロに依頼することで、法律だけでなく店舗を構えた各市区町村がそれぞれに設けた「地域の条例」など、すべてにおいて違反することの無いようにサポートしてくれます。普段から自分でできる保守点検についても、アドバイスを受けることできます。

清掃についてもプロだから清潔でキレイ

さまざまな店舗や施設で、多種多様なグリストラップの清掃の実績を重ねたプロだからこそ、清潔でキレイな状態にできます。

プロに清掃を依頼することで、グリストラップを常に清潔な状態で保てるだけでなく、自身や従業員の清掃の負担を減らすことも可能です。労働環境が改善すれば、従業員の定着率にもつながります。さらに、清潔感は企業イメージや集客力アップにもなるでしょう。

まとめ

グリストラップは設置するだけでなく、その後の保守点検についてもしっかりと行わなければ意味がありません。グリストラップの機能を維持して、効果を十分に発揮させるには、自身での清掃では足りないこともあります。条例で定められている基準値を熟知しているプロの力を借りるのが一番良い方法です。

グリストラップの清掃を幅広い地域で提供し、さまざまな店舗で積み重ねた実績と豊富なノウハウを持つアイ・エス・ガステム株式会社に、相談してみましょう。法を犯すことなく、メンテナンス・清掃から最終処理までしっかりサポートしてくれるでしょう。