グリストラップの清掃方法と道具について|基礎知識からポイントまでを徹底解説

飲食店では、排水の水質を定められた基準値以下にするため「グリストラップ」を設置しています。飲食店の厨房から流れる排水は、生ゴミや油などを多く含んでおり、グリストラップに汚れが蓄積していきます。

衛生面からこまめな清掃が必要となりますが、自分で行う際の清掃方法や、役に立つ清掃道具などが分からないという人も多いのではないでしょうか。今回は、グリストラップの清掃方法と道具について、基礎知識やポイントについても詳しく解説していきます。

グリストラップの清掃方法・道具|バスケット

バスケットは、排水によって汚れが早いスピードで蓄積していく部分です。汚れが蓄積したままにすると、第1槽で詰まってしまい、その後の排水処理がスムーズに流れなくなる恐れがあるため、日頃のメンテナンスがとても重要です。普通に清掃を行うと重労働になるため、便利な道具を使用して効率的に清掃しましょう。

バスケット清掃に役立つ清掃道具

バスケットの清掃に役立つ道具としては「バスケット用水切りネット」が挙げられます。バスケットをひっくり返す必要がなく、簡単にゴミを取り出せるという優れものです。

使い方としては、バスケット内部にバスケット用水切りネットを入れます。ネットの上部を折ってバスケットにもたれかけさせることで準備は完了です。ゴミが溜まってきたら、ネットのみを持ち上げて取り出し、そのまま廃棄すれば良いので非常に簡単です。一般家庭の台所にある「三角コーナーネット」と同じ仕組みです。

通常、清掃する場合は、バスケットごと取り出して、ゴミ箱の上でひっくり返してゴミを取り出すのが一般的です。しかし、バスケットが大きかったり重かったりすると、とても重労働になります。ネットを使うことで簡単に持ち上げられ、手間もかかりません。ただし、ネットを使用してもバスケットは汚れるため、金属たわしなどで清掃は必要です。

バスケット清掃は毎日行う

バスケットの清掃は、毎日行いましょう。バスケットは、第1槽において排水に含まれるゴミをキャッチするものです。排水の中には、思った以上に大量のゴミが含まれています。メインは残飯ですが、爪楊枝や割箸の破片なども混じることがあります。

大量のゴミによって、バスケット内はすぐにゴミが蓄積します。ゴミが溜まってバスケットの金網状の隙間が目詰まりすると、微細なゴミや油脂分が通らなくなります。微細なゴミや油脂分が通らないとそのまま蓄積していくことになり、バスケットが油脂分やゴミであふれて排水できなくなります。

前項で挙げたバスケット用ネットを利用するなどして、毎日清掃を行い、ゴミを溜めないことが重要です。また、目詰まり防止のために、バスケットを金属たわしなどで清掃しましょう。

グリストラップの清掃方法・道具|油脂

油脂分は、水面に蓄積されていきます。そのため、比較的清掃しやすい場所です。しかし、大量に浮かんでいる油脂分を処理するには、通常の道具では根気が必要です。便利な道具を使用することで、手間をかけることなく簡単に除去することが可能です。便利な道具で苦労せずに油脂分を除去しましょう。

油脂の除去に役立つ清掃道具

油脂分の除去に役立つ清掃道具として、グリストラップ用の「油吸着シート」が挙げられます。油吸着シートは、水面に浮かんでいる油脂を吸い取り、シートだけをすくい上げれば油脂分の除去ができるという優れた清掃道具です。

使用方法は、油脂が浮かんでくる第2槽の水面上に、全体が覆いかぶさるように油吸着シートを浮かべておきます。浮かべたまま、約1週間放置します。放置する期間は、水面に浮上してくる油の量にもよりますので、適宜調節する必要があります。放置し終わったら、吸着シートをすくい上げて廃棄しましょう。

通常であれば、アク取りやひしゃくなどを使用して、何度も油をすくい上げて除去します。大量であれば、完全に除去するまで非常に時間がかかります。また、長時間かがんだ姿勢で、体力も消耗します。

油脂分をすくい上げるだけの作業でも、実際に行うと手間がかかるうえ、重労働です。清掃が「面倒なものだ」と感じてしまうと、定期的な清掃を行うのもおっくうになってしまう可能性があります。油吸着シートを使用して手間なく清掃を行いましょう。

油脂の除去は2〜3日に1回程度

油脂分は、2〜3日に1回程度の清掃が必要です。動物性の油脂の場合、放置すると固まって清掃がしづらくなってしまいます。状況を確認して、適宜清掃のサイクルを早めることも重要です。

ラーメン店や中華料理店などでは「ラード」を使用することが多いため、通常よりも早いサイクルでの清掃が必要となることがあります。特に油の使用量が多い場合、例外として毎日清掃したほうが良いでしょう。

大量の油脂分が水面に蓄積されていくと、油脂分ががグリストラップからあふれてしまう恐れもあります。あふれてしまうと、悪臭の原因になりますので、早めの清掃が必要です。自分の店舗は、どの程度の頻度で清掃するのがベストなのかを把握するためにも、頻繁に確認しましょう。

グリストラップの清掃方法・道具|沈殿物

グリストラップ内には、バスケットと水面のほかに、底部にも汚泥が蓄積します。第1槽では、バスケットの網目を通過するほどの微細なゴミが、バスケットの下部に沈殿して蓄積します。その後、第1槽で沈殿しきらなかった微細なゴミは、第2槽において沈殿、蓄積します。沈殿した汚泥を、すくい上げて清掃する必要があります。

沈殿物の除去に役立つ清掃道具

沈殿物の除去に役立つ清掃道具は「柄の長いすくい棒」です。柄が長く、立ったままでもグリストラップの底部までスコップ部分が届くため、非常に効率よく清掃することが可能です。

使い方としては、まず、バスケットに蓄積したゴミや、第2槽の水面に蓄積した油脂分をきれいに除去しておきます。きれいに除去しておくことで、掃除をしたあとにゴミが沈殿することがなくなり、二度手間になることを防げます。

その後、柄の長いすくい棒を使用して、底部に沈殿した汚泥をすくい上げていきます。すくい棒は四角形をしている製品が多いので、コーナー部分も残さず除去できます。柄が長いおかげで、立ったまま楽な姿勢で清掃できるところが、一番の便利なポイントです。

便利な道具を使用しない場合、長いゴム手袋を着用して、底部付近まで腕を入れてすくい上げなければいけません。かがんだ状態で長時間作業すると腰痛の原因になるほか、誤ってゴム手袋の中に汚水が入ってしまうと、非常に不衛生です。手間もかからず衛生的で便利な道具を使用して、清掃しましょう。

沈殿物の除去は2〜3日に1回程度

沈殿物の除去作業は、2〜3日に1回程度の頻度で行う必要があります。先にも解説したように、主にバスケットでキャッチできない微細なゴミが底部に蓄積し、汚泥となります

特に、第1槽のバスケット下部で汚泥が大量に蓄積すると、排水の流れが悪くなります。汚泥がさらに蓄積すれば、排水が第2、3槽へとうまく流れず、第1槽でせき止められてしまう恐れもあります。

せき止められた場合、排水があふれ出てしまう危険性もあることから、定期的な清掃が必要となります。1カ月に1回程度と目安はありますが、ラーメンの残り汁を大量に捨てたり、出汁をとった寸胴のスープを捨てたりする場合、通常よりも早いペースで沈殿物が蓄積することもあります。2〜3日にこだわらず、定期的にチェックを行いましょう。

グリストラップについて

冒頭でも触れたように、環境を守るためにも、グリストラップは飲食店に必要不可欠な存在です。飲食店を経営していく上では、常に気にかけておく必要のある存在とも言えます。そのため、グリストラップの構造をしっかりと把握しておき、日頃から清掃することが重要です。清掃を怠ると、飲食店の経営にも影響する恐れがあるので注意しましょう。

グリストラップの構造

グリストラップは、3槽に分かれて排水内のゴミや油脂分を分離します。第1槽は、排水内に含まれるゴミを集積します。グリストラップの排水口に金網状のバスケットが設置され、大きめのゴミはバスケットにキャッチされ、蓄積していきます。微細なゴミはバスケットを素通りして底部に沈殿し、油脂分はそのまま第2槽へと流れていきます。

第2槽は、油脂分を分離する場所です。水面に油脂が浮上して蓄積します。第1槽で沈殿しきらなかった微細なゴミは、第2槽でも沈殿します。

第3層では、油脂と分離した排水を、パイプ状の「トラップ管」を通して下水道へと流します。トラップ管の吸入口は、水中に下向きで設置されています。油脂は水面に浮上する性質があるため、水中で下向きであれば、残っていた油脂を分離して下水道に流すことができます。

グリストラップの清掃を怠るとどうなる?

グリストラップの清掃を怠った場合、不衛生な事態が発生して健全な飲食店の経営ができなくなる恐れがあります。

清掃せずにそのままにしておくと、悪臭が発生します。グリストラップ内に長時間生ゴミが滞留し、この生ゴミが腐ることによって悪臭が発生、厨房だけでなく店内や店外にまで漏れることも考えられます。悪臭が漂っていればお客さんは遠のいてしまい、不衛生ということで営業にも影響する恐れもあります。

さらに、ゴキブリやハエなどの害虫が発生しやすくなります。害虫が発生した場合、お客さんのイメージが悪くなるのはもちろんのこと、最悪の場合、営業停止となる恐れもあるので注意が必要です。

また、大きな視点で見れば、地球環境を汚染することにもつながります。排水が浄化されずに下水道へと流れると、川や海の汚染へとつながります。飲食店の健全な営業や地球環境保護のため、定期的に清掃しましょう。

グリストラップを清掃する際のポイント

グリストラップの清掃は、特殊性ゆえに押さえておくべきポイントがあります。ポイントを押さえておかないと、店内が不衛生になって健全な営業が行えなくなる可能性があります。さらに、法律違反になる恐れもあります。衛生的で健全な営業を行い、お客さんが安心して食事をとれるよう、必要なポイントを押さえておきましょう。

油脂と沈殿物は産業廃棄物になる

第2槽で水面に浮上した油脂分や、底部に沈殿している汚泥は「産業廃棄物」扱いとなるので注意しましょう。

一般のゴミは、市区町村で集めて処理を行います。しかし、産業廃棄物は、都道府県の許可を受けた産業廃棄物処理業者しか処理ができません。そのため、グリストラップで発生した油脂分や汚泥は、都道府県の許可を受けた産業廃棄物処理業者に依頼して引き取ってもらう必要があります。

産業廃棄物を一般ゴミとして出した場合は「不法投棄」とされ、違反となります。懲役や罰金が科されることとなりますので、飲食店の経営が不健全なものとなり、経営の継続が困難になります。油脂や汚泥を、一般ゴミと同じように市区町村のゴミ収集場へ出すことはやめましょう。

(参考:廃棄物処理法の罰則:https://www.amita-oshiete.jp/qa/entry/000694.php

定期的に清掃の専門業者に依頼しよう

グリストラップは、定期的にプロの専門業者に清掃を依頼しましょう。業者に依頼をすれば、確かにコストはかかりますが、飲食店の経営においてコスト以上に重要な「衛生的な環境」が得られ「手間を省く」こともできます。

コスト削減のためにグリストラップの清掃をすべて自分で行うこともできますが、多忙な業務の合間を縫って行うのは、負担がかかるものです。さらに、清掃に充てられる時間が短かったり、完全に清掃ができなかったりする可能性もあります。

清掃が不完全な場合、先にも挙げたように悪臭や害虫の発生によって、不衛生な環境となります。不衛生な環境ではお客さんが離れてしまい、ひいては経営が困難になる恐れもあります。コスト削減のために不衛生な環境となってしまっては、元も子もありません。

プロの専門業者の技術であれば、完璧な清掃を行うことが可能です。定期的に専門業者に依頼することで、衛生的な環境の保持、継続が可能となりますので、結果的に健全な経営につながるでしょう。

まとめ

グリストラップは、定期的な清掃が必要な設備です。すべてを自分で行うと手間がかかるばかりか、完全な清掃が行えず、不衛生な環境となる恐れもあります。毎日行う必要のあるバスケット清掃は自分で行い、ほかの部分に関しては定期的に業者に清掃を依頼しましょう。プロの清掃技術で衛生的な環境を保持することで、健全な飲食店の経営につながります。

グリストラップの清掃を依頼するのであれば「アイエスジー株式会社」に相談してみましょう。自社清掃における処理件数は最大級を誇り、蓄積したノウハウによるプロの清掃技術、グリストラップ清掃に特化した専用道具を使用して、衛生的な環境作りをしています。優良産廃処理業者である点も「アイエスジー株式会社」の特徴です