グリストラップの汚泥・廃油を『一般廃棄物』として処理してはいけない理由

グリストラップの清掃は閉店後か休日に行うことが多いので、飲食店で働いている方のなかには、グリストラップの存在を知らない方もいます。そのため、急にグリストラップの清掃をすることになり、汚泥・廃油の処理の困っているという方も多いのではないでしょうか。

グリストラップは、設置目的からゴミの処理方法まで厳しい規制があります。法律で定められている内容を知って、適切に処理することが大切です。そこでこの記事では法律ではどのように決められているのか、汚泥がどこから出るのかなどグリストラップに蓄積する汚泥の処理方法についてご紹介します。

まずは、法律で決められている重要なポイントを確認しておきましょう。

グリストラップの汚泥を「産業廃棄物」として処理することが法律で定められている

法律では、グリストラップの汚泥を産業廃棄物として処理するように定めています。適切に処理しないと罰則を科されるケースもありますので、注意が必要です。

罰則の対象にならないように汚泥の処理方法を理解して、適切な業者に依頼しましょう。 ここでは産業廃棄物について定めている法律や、罰則内容、処理の仕方について解説します。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律

産業廃棄物処理の規則については「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」で厳密に定めています。

なぜ法律で規制しているのかというと「廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることが目的」だからです。

適切な処理をしないと、周辺地域の生活環境にも大きな影響を及ぼし、店舗運営面でも損害がでるケースもあるため、適切に処理する必要があります。

(参考:『廃棄物の処理及び清掃に関する法律』https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/03/pdf/haikibutushoriho.pdf

不法投棄したとみなされる場合には罰則がある

グリストラップから排出される汚泥を法律に則らない形で処理すると、罰則の対象になります。たとえば「混ぜてしまえばわからないだろう」と軽率に生ゴミなどに混ぜて一般廃棄物として廃棄すると、罰金や懲役といった罰則を科されるケース があります。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律の中でも「規定に違反して、一般廃棄物又は産業廃棄物の収集、若しくは運搬又は処分を業として行った者」や「規定に違反して、一般廃棄物又は産業廃棄物の処理を他人に委託した者」には罰則が科される可能性があると書いています。

適切に処理しなかったり、適切な業者に処理を依頼しなかったりすると罰則を受ける可能性があるため注意しましょう。罰則の内容の例として、1,000万円以下の罰金、もしくは5年以下の懲役や併科が挙げられます。

(参考:『廃棄物の処理及び清掃に関する法律』https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/03/pdf/haikibutushoriho.pdf

産業廃棄物の処理は排出事業者が手配する必要がある

グリストラップから排出される産業廃棄物は、適切に処理できる業者を手配する必要があります。業者によって保有している許可が異なり、適切な産業廃棄物の収集運搬許可、処分許可を保有している業者に依頼しなければなりません。

業者に依頼する際は、書面で委託契約を締結し、清掃作業時にはマニフェストを発行しましょう。マニフェストは、産業廃棄物の処理の流れを把握・管理するためのものであり、不適切な処理や不法投棄等を防止するためのものです。

(参考:『廃棄物の処理及び清掃に関する法律』https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/03/pdf/haikibutushoriho.pdf

グリストラップの汚泥は最終的にどうなるか

グリストラップ清掃を業者に依頼すると、許可を持っている車両で処分場に運搬してもらいます。その後、中間処理施設へと移り汚泥が含んでいる水分を抜いて、乾燥させたり、燃やしたり、砕いたりといった処理により量を減らします。

最後は最終処分場で埋め立てられるケースもあれば、リサイクルされるケースもあります。「汚泥のリサイクル」といっても想像できない人も多いのではないでしょうか。リサイクルの一例としては、堆肥化があります。

グリストラップの「汚泥」はどこから出るか

汚泥、はグリストラップから排出される産業廃棄物です。「汚泥とはどこから発生するのか」「どこからが汚泥なのか」汚泥の基準について知っている人は少ないかもしれません。

ここでは、一般廃棄物と産業廃棄物の違いを詳しく解説します。それぞれ、基準となる指標があるため確認していきましょう。

グリストラップから出る一般廃棄物とは何か

グリストラップは、3槽構造になっています。その1槽目のバスケットに溜まるゴミは、一般廃棄物に該当します。野菜くずや残飯といった大きなゴミです。割りばしや袋のような食品以外のゴミが混ざることもあります。

一般的な家庭から出る生ごみと同様なため、産業廃棄物のように特殊な処理は必要ありません。通常のゴミと一緒に、一般廃棄物として処理しましょう。

グリストラップから出る産業廃棄物とは何を指すか

1槽目のゴミはバスケットに溜まり、一般廃棄物として処理できます。2槽目には上部に廃油、底部分に汚泥に分かれて溜まります。廃油と汚泥はどちらも産業廃棄物に該当します。

産業廃棄物にはいくつかの種類があり、油分の割合で種類が異なります。油分が5%以上なら汚泥と廃油の混合物、油分が5%未満なら汚泥です。産業廃棄物の種類を把握して、適切な処理を行いましょう。

産業廃棄物は適切に処理しなければ、法律違反になります。加えて、汚泥や廃油は放置しておくと処理が大変になるため、定期的な清掃が必要です。しかし、日々の業務に追われるとどうしても時間が取れなくなりがちです。

グリストラップの清掃は、ポイントを押さえておけば効率的に進められます。清掃業者に依頼する方法もあるため、運営状況に応じて選択するとよいでしょう。

グリストラップの清掃頻度と方法

油分やゴミを含んだ排水をそのまま下水に流してしまわないように、定期的にグリストラップを清掃することが大切です。しかし、全ての部品を毎日清掃しようとすると大変で、挫折する可能性があります。店舗業務が忙しいと、清掃のための時間確保も難しくなるでしょう。

効率的な清掃のためには、グリストラップの1槽目から3槽目の各槽の仕組みを知って、 それぞれ適切な頻度で清掃を行うことがポイントです。

バスケット内は毎日清掃する

第1槽目のバスケットには、生ゴミが溜まります。残飯や野菜くずといったゴミが溜まり、すぐに一杯になるため毎日清掃しましょう。

清掃せずに放置すると、ゴミに害虫が寄ってきたり、悪臭が発生したりします。スタッフの労働環境の悪化にもつながるかもしれません。また、客席まで影響が出た場合は売上にも関係してくるため、清掃を怠らずに行いましょう。

ゴミを簡単にキャッチしてくれる「ネット」もあります。ゴミがたまったらネットを取り外して破棄するだけなので、手間をかける必要がありません。清掃時間の節約に役立つアイテムです。

2槽目上部の廃油は週に1度回収する

2槽目の上部には、廃油が溜まります。油は水よりも質量が軽いため、浮上してくる性質を利用しています。溜まった廃油を除去する頻度は、1週間に1回が目安です。

スコップやひしゃくを使って油分をすくう清掃方法が一般的です。ただし、人によっては腰に負担がかかったり、臭いが気になったりすることもあるかもしれません。

便利なアイテムとして廃油吸着シートがあります。シートを設置して一定時間間おいた後にシートを取り除くと、まとめて廃油を除去できるため清掃の手間を省けます。清掃時間の節約には、便利なアイテムを積極的に使用することが効果的です。

底に溜まった汚泥も週に1度清掃する

第2槽目の底には、汚泥が沈殿します。油脂分と同じ、1週間に1回の清掃が目安です。汚泥は沈殿して水面の廃油に隠れるため、蓄積していることに気が付かないことも多いでしょう。しかし、そのまま放置していると悪臭が漂ったり、グリストラップが詰まったりする原因につながる可能性があります。

清掃の際は、底が深いタイプのグリストラップだと体への負担が大きくなりがちです。柄の長いひしゃくを使うと負担を軽減できるため、取り入れてみましょう。

グリストラップ全体の清掃は数カ月に1度行う

グリストラップ全体の清掃は、数カ月に1回は行いましょう。定期的に各部品を清掃しても、汚れが残っているところもあるかもしれません。定期的にまとまった時間を確保して、全体的に清掃することが大切です。

油汚れがひどいケースも多いため、重曹や専用の洗剤を用いてキレイに清掃します。素人では難しいくらい汚れが悪化しているときは、業者への依頼も検討しましょう。

グリストラップ清掃業者へ依頼について

定期的な清掃を「グリストラップ清掃業者」に依頼する事業者もたくさんいます。グリストラップ専門業者に依頼すると、プロの清掃を受けられます。

メリットとしては、自分たちで行うよりもキレイになる、グリストラップの持ちがよくなる、清掃時間の節約とスタッフの負担軽減といったことが挙げられます。「キツイ」「汚い」「危険」の3K仕事にも当てはまるため、スタッフではなく業者に依頼したほうがスタッフも喜ぶでしょう。

ただし、産業廃棄物の収集運搬の許可を保有している業者に依頼する必要があります。業者選びにお悩みの方は、清掃業務を行うために適切な許可を保有しているアイエスジーにご相談ください。

プロはグリストラップの汚泥をどう清掃するか

お店のスタッフや経営者の手でグリストラップ清掃することも可能ですが、プロの業者に依頼する手もあります。素人とプロでは清掃方法がどのように違うのか、気になっている人も多いのではないでしょうか。

以下ではアイエスジーの清掃手順や依頼した場合の流れ、費用を解説します。事例も交えてまとめていますので、業者へ依頼する際の検討材料として活用してみてください。

プロのグリストラップ清掃手順【アイエスジー株式会社】

アイエスジーに依頼した場合の清掃手順を解説します。アイエスジーでは、グリストラップの現場を見てからプランを立てます。具体的な清掃内容は、次の通りです。

蓋を開けて、グリストラップの内の部品を順番に清掃していきます。最初にブラシで、1槽目のバスケットの汚れを取ります。同様に、仕切り板に付着した油汚れをブラシで汚れをキレイに除去します。

次にグリストラップ本体の壁面清掃です。ケレンやブラシで落ちない汚れを念入りに落とします。底部分は溜まっている排水で見えませんが、ゴシゴシと壁面を擦ります。

汚れが落ちたら、バキュームを使って汚泥の吸引へと移ります。吸引しながら、ケレンやブラシを用いて汚れを除去することがポイントです。最後は、仕切り板やバスケットをもとの位置にもどして作業完了です。

アイエスジー株式会社にグリストラップ清掃を依頼した場合の流れ

次に、お申込みしてからお仕事完了までの流れを解説します。アイエスジーに依頼した場合は次の流れで進みます

ご依頼をいただいたら、必ず行うのが現場確認です。現場確認でグリストラップの寸法、店舗内や周辺の作業環境などを確認し、お見積りを出します。

内容にご納得いただいて発注されたら、産業廃棄物の収集運搬・処分委託の契約を交わします。契約が済んでから、作業日程のご相談となります。調整させていただいた日程で、担当のスタッフが作業に伺います。

適切に作業したことを証明するために、ご希望の方には作業報告書を作成します。法令に基づいてマニフェストを発行、提出をした後に費用のご請求という流れとなります。

グリストラップをプロに依頼したときの費用

業者に依頼した場合の費用の算出方法は、業者によって異なる点があります。アイエスジーの費用の基準は、グリストラップ内の汚泥量です。量が多ければ多いほど費用が高くなる傾向にあります。

算出する計算方法は、縦×横×水深を測って出した量をもとにしています。例えば250リットルの場合、毎月清掃すると18,000円前後が目安になります。現場の立地条件や作業時間などで金額は変動しますので、まずはお見積りのご相談をしていただくことをおすすめします。

グリストラップ清掃の例

東京都渋谷区のビル4階、フレンチレストランでの清掃事例をご紹介します。しばらく清掃せずに放置していたところ、ビルの管理会社から処理するよう注意されたことがきっかけでアイエスジーにご連絡いただいたとのことです。

お肉や魚、揚げ物など幅広いメニューに対応していることもあり、グリストラップは非常に汚れている状態でした。

清掃の手順として最初に、ポータブル機器をエレベーターで店舗まで運びました。その後、グリストラップのカゴ・壁面清掃、汚泥吸引をし、その後ポータブル容器をエレベーターで地上まで降ろしました。最後に、ポータブル容器内の汚泥をバキューム車のホースで吸引して作業完了です。

お客様からは「汚泥の処分ができず、どうしたらよいのか困っていたのでとても助かった。閉店後~仕込み前の従業員のいない間に作業を終えてくれるので、立ち合いなどで時間をとられないのがよかった。また、作業員が2名体制でしっかり仕上げてくれて、自分でやると大変なのでお願いしてよかった。」との評価をいただきました。

(参考:『清掃事例』https://www.isgnet.jp/greasetrap/case09/

グリストラップのトラブルを避けて安定した飲食店経営

グリストラップは清掃しないまま不衛生な状態になっていると悪臭や害虫・害獣が発生します。また、下水に汚水を排出して環境汚染、排水管詰まりといったトラブルが発生する事態に発展することもあります。このようなトラブルは、来店されるお客様にはもちろんのこと、店舗で働いているスタッフにとっても不快です。

定期清掃をしっかりと行えば、お客様の好感度向上、トラブル発生の予防、グリストラップが長持ちしやすくなるといったメリットつながります。定期清掃で清潔な状態を保つように心がけましょう。

まとめ

グリストラップは定期的に清掃しないと、さまざまなトラブルを引き起こします。悪臭や害虫発生は店舗運営にも大きな影響を与えるでしょう。

また、グリストラップからでる汚泥を「産業廃棄物」として適切に処理しなければ、法に触れることになります。しかし、適切に処理するには自分たちだけでは大変な作業もあります。プロの業者に清掃を依頼することで、自己負担少なく最後までしっかり処理できるようになります。

グリストラップの清掃に不安がある方は、アイエスジーにご相談ください。清掃から産業廃棄物の処理、マニフェストの発行やメンテナンスまでワンストップで承ります。